好きですか? いいえ・・・。





私の想像していた登校拒否とはまるで違った。もっと周りから心配されるものか、もっと学校に行けとうるさく言われるものだと思っていた。それが蓋を開けてみれば、こんなものだ。ネットで可愛いスマホのケースを見つけて買ってみたけど、思っていた大きさと若干違ったような気持ち。



こうやって登校拒否になると、やることがないのが普通かもしれない。でも、私にはやることがあると言えば、ある。ギターを弾くことだ。



思えばこのギター。本当は川上くんを振り向かせるために、川上くんの好きなテイラーを越えるシンガーソングライターになるために、指の皮がズリ剥けるくらい練習したのに、バカみたい。



バカみたいだけど、今の私にはこれしかない。ただ、弾くだけ。バカみたいに、ただ、弾くだけだ。




< 186 / 204 >

この作品をシェア

pagetop