好きですか? いいえ・・・。
家に着き、私は合鍵を使って玄関のドアを開けた。
振り返ると、外には落合くんが笑っていて、右手を挙げていた。
「この先はもう大丈夫だよな?」
「うん。大丈夫。もうすぐお母さん帰って来ると思うし。」
「そっか。」落合くんは右手を降ろした。
「そんじゃまあ、明日の朝も迎えに来るよ。7:30頃でいい?」
「そんな!」私は慌てて玄関を出た。段差でお尻が浮いた。
「そこまでしなくて大丈夫だよ!」
「別にオレも大丈夫なんだけど。」
「でも、落合くんの家、ここから遠いでしょ? 何分くらいなの?」
「大体30分くらいかな……。」
落合くんは頭を掻いた。
「やっぱりいいよ! 送ってくれただけでもありがたいのに……さすがに迷惑だよ。」
「迷惑なんかじゃないって。好きでやってんだから。それに、走れば5分で着くから大丈夫!」
落合くんが背中を丸めてその場で足踏みをした。また不覚にも私は笑ってしまった。