好きですか? いいえ・・・。
「わかった。じゃあ、7:30に来て。」
観念したようにそう言うと、落合くんはまたニカッと笑った。
「承知いたしました! 寝坊すんなよ?」
「落合くんこそ、寝坊すんなよ?」
「バーカ。するかよ、寝坊なんか。」
「じゃあ、もし寝坊したら、坊主ね?」
「いいよ。坊主でも、アフロでも、なんでも。」
そう言って、落合くんは踵を返し、右手を挙げて帰って行った。背中でギターケースとカバンが2つ揺れていた。
「あ! 落合くーん! カバン! カバン! 私のカバン!」
颯爽としていた背中が少し揺れて、バツの悪そうな顔で落合くんが私のカバンを持って戻って来た。
「まだ7:30には早いけど?」
「うっせー!」
そう言い残して、今度は颯爽と走って行ってしまった。さっきよりもギターケースが激しく揺れていた。
走っている落合くんの姿を見ても、私はなんとも思わない。むしろ、カッコイイとさえ思った。