好きですか? いいえ・・・。
好きなものを否定される。





何かと不便なことが多い。でも、もういい。受け入れるしかない。こういう私を好きになるしかない。そして、こういう私を好きになってくれる人を大事にしたい。



いつもよりも髪の毛のセットに時間をかけた。カールアイロンでふわっとさせる。うん。結構いい感じ。鏡の前で笑顔を作ってみた。うまく笑えているのだろうか。



時計を見ると、7:20。落合くんが家に来るまであと10分ある。10分でできることって何があるだろう……。



教科書よし! お弁当よし! 身だしなみよし! スマホの充電よし!



まだ7分くらいあるけど、特にすることもないし、家の前で待ってよう。



「十志子、ホントにいいの?」



玄関で靴を履きながら、お母さんの声を背中に受ける。



「いいの、いいの。船長さんが私を海岸まで運んでくれるんだから。」



「その船長さんってどんな人なの?」



どんな人……かあ……。



「まあ、いい人かな。いい人過ぎるいい人。」



「いい人過ぎるいい人?」



「そう。いい人過ぎるいい人。」




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