好きですか? いいえ・・・。
「スナノがどうしたの?」
「いや……いいバンドだなって思って……。」
私の顔はきっと落合くんには見えていない。だから、真っ赤になった顔を見られる心配はない。でも、見られていそうで、見られていないこの感じがなお一層私を恥ずかしくさせて、耳が熱い。
「そうかあー? ダサいコピーバンドじゃんか!」
そう欠伸交じりに言い放った落合くんの方を振り返った。好きなものをここまでサラリと否定されるとかえって腹が立つ。アイドルをバカにされて怒るファンの気持ちがわかった気がする。ああ、こんなにも憤りを覚えるものなんだ。
「そんな言い方なくない?」
「だってさー、コピーバンドってただの真似事じゃん。」
「真似事じゃないよ! 少なくともスナノは、ちゃんと自分たちのオリジナリティーも取り入れてるもん!」
「それって盗作じゃん。何かの小説のキャラクターとか世界観とかを使った二次創作みたいなものじゃん。」
「盗作じゃなくて、オマージュだよ!」
「財満さん、オマージュの意味知ってる?」
「財満さん、オマージュの意味知ってます!」
私は鼻を鳴らして腕を組んだ。