好きですか? いいえ・・・。
チャイムが鳴って、先生が教科書を閉じた。
「今日やったところは中間テストにも出るから、ちゃんと復習しとけよ?」
「はーい。」
欠伸交じりに返事したことで、三度、教科書式脳天チョップを食らうこととなった。
私は車椅子の背もたれに身体を預け、ベッドの方を振り返った。カーテンの奥で落合くんの「んー!」といううめき声みたいなものが聞こえた。ぐっすり寝て、伸びをしているんだと思う。
「落合くん、授業終わったよー?」
「……んあ……みたいだな。」
落合くんがカーテンを開けて、出てきた。髪の毛が寝癖でボサボサになっていて、パイナップルみたいで思わず口に手を当てて笑った。
「え? 何? よだれ?」
必死に制服の袖で口を拭う落合くんの仕草がいよいよおかしくて、ヒーヒー言いながら笑った。
「なんだよ!」
「かっ……鏡で……顔……ヒーヒー……。」
落合くんは洗面台にある鏡に走って行って、「なんじゃこりゃー!」と叫んだ。自分の席で頬杖付いていた山辺先生が、「落合、うるさい! 元気なら教室戻る!」と叱責した。