好きですか? いいえ・・・。





学食は戦場だ。400人近い生徒でごった返す。



食券を持った生徒が長蛇の列を作り、席が空くのを待つ。パンやおにぎり、総菜売り場の前では我先にと好きなものを取り合い、奪い合う。



そこに譲り合いの精神はない。必要ないのだ。



戦争が起こる原因は、いろいろあるけど、その大半が大昔から食料をめぐったものだと聞いたことがある。この状況の学食は、まさに食料を手に入れるための戦争だ。



しかし、食料ばかりに気を取られていては、ダメだ。大事なのは、領地の確保ならぬ、席の確保。いくらかつ丼や天丼やそぼろうどんを手に入れることができても、席を確保していないと、階段に腰かけ、食べる羽目になる。



つまり、勝者は生姜焼き定食とチョココロネを席に座って優雅に食べることができ、敗者は人気のないあんぱんを買うために、20分かけて行列に並んだ末、階段に座って食べる羽目になる。



これが我が私立瀬花高校伝統の「学食戦争」である。




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