好きですか? いいえ・・・。
Emをかき鳴らす。





発泡スチロールの箱を車から出して、それを机に置くと、お母さんが「開けてみて?」と言うので、二人で開けてみた。



中からは冷凍されたカニが出てきて、これには驚いた。



「なんでカニ!? うち、貧乏なのに。」



「職場の人から貰ったのよ。船長さんも来てることだし、せっかくだから、夕飯は鍋でもしようと思ってるんだけど、どう?」



私は落合くんと目を合わせた。もちろんいいに決まっている。



「私、カニなんて久しぶりだよー! まあ、落合くんはこんなのしょっちゅう食べてるんだろうけどさ。」



「そんなことねえよ。オレも久しぶりだよ、カニ。お腹減らすために、その辺走ってこようかな……。」



そう言って、チラッと私の方を見た落合くんがバツの悪そうな顔をした。



「……ごめん。そういう意味じゃなかったんだけど。」



「いや、いいよ! そのアイデア! ねえ、せっかくだからアコギも持って行かない?」



「アコギ持って走んの?」



「そうじゃなくて、路上ライブやろうよ! まあ、ライブじゃなくてもいいけど、外で落合くんのギター聴きたいなって。」



私はお母さんの方をチラッと見た。親指を立てて、「暗くなる前には帰りなさいよ?」と言った。




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