私の正体、バレてたまるものですか

「お疲れ」

顔をあげると二十代後半にしては随分と幼い顔をした女性。
 
「恵美さん、お疲れさまです」

この女性は私のマネージャー。
もう結構長い付き合いだ。

「大丈夫?疲れてるんじゃない?この頃仕事忙しくなってるものね。」

「大丈夫ですよ。ご心配ありがとうございます」

心配そうな顔の恵美さんにお礼を言う。

「そう?無理はしないで、体調には気をつけてね。凛」

「はい」

『凛』とは私の芸名。
私は幼い頃から芸能界で活動している。
今は高校生モデル。一応人気はあるらしい。
だから、学校にもまともに行けず、今は芸能人が行く都内の高校に通っている。

「休憩終わりまーす。凛さん、準備お願いします」

「あ、はーい。今行きます!」

つかの間の休憩時間ももう終わり。

私、栗宮蘭は、今日も偽物の『栗宮凛』として偽りだらけの営業スマイルを振り向ける。
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