私の正体、バレてたまるものですか
「お疲れ、凛ちゃん。」

「ありがとうございました!お疲れ様です。」

今は午後8時。
今日の仕事も終わり。
計7時間の撮影だった。

「凛、もう外暗いだろうから気をつけてね。」

「はい。」

恵美は仕事が遅くなったときはいつも家まで送ってくれる。
だけど、この後莉子と会う約束をしたため、今日は断った。

初めて断ったときは心配性な恵美はなかなか許してくれなかった。
だけど、もともと私は夜景を見ながら一人でいることが好きだ。
今ではそれも理解してくれており、許してもらっている。
心配はされるが。

「体調にも気をつけてね。」

「はい、ご心配ありがとうございます。今日は早く寝ますね。それでは。」

まだ仕事があり、忙しそうな恵美に背を向けて足を進める。

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