私の正体、バレてたまるものですか
あれから数時間。
自分の住んでる家が見えてきた。

私は一人暮らしをしている。
高級とはいわないものの、防犯設備はしっかりしているマンション。

歩みを進めていると、あることに気づく。
私のマンションの前で怪しげにウロチョロしている人物がいた。

(何あの人…めっちゃ怪しいんだけど…。通報したほうがいいのかな?…でも間違ってたら失礼だしな…。とにかく早く立ち去ろう。)

出きるだけ目を合わさないようにその人の横を通り過ぎる。

(……。)

だけど気になってつい後ろを軽く振り返ってしまった。

(…!?)

するとバッチリ目があってしまった…ように見えた。
街灯に照らされた不審者はサングラスとマスクにニット帽。
いかにも不審者そのものだった。

(こ、こわぁ……。何あの人…。サングラスしてるし辺りも暗いからよくわからなかったけど…多分目、合ったよね…?)

恐怖で何も考えないように早足で自分の号室まで急いだ。

一応家に入っても電気はつけず、ちょうどさっき不審者がいたあたりが見える角度だったので、カーテンの隙間からそっと覗いてみた。

(…よかった。いない…。)

さっきの不審者の姿はなかった。
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