つぎの春には…



「…少し考えさせてください」



やっとの思いでそう口にした彼女は俺に会釈をし、自宅へと歩き出した。




俺は前回同様、彼女の背中が見えなくなるまでその場で見送る




本来なら夜も遅いし、家まで送るべきだろうが、そう提案できる雰囲気ではなかった…






しまった…




せめて送ってから告白すればよかった…





「いやいや、それは警戒するから」




突然、背後から声がした




驚いて振り向くと杏がいた





「どうしてここに…てか、なんで…」




「本社行ってた帰りに最寄り駅から出てきたら友人の告白現場だもん…見ちゃうよね。」



驚きを隠せずにいた俺にニヤニヤと答える杏



杏の言う本社はここから電車で二駅のところにある




全部見られてた?



「そりゃ全部見たよ?んで、『しまった、送ってからにすれば良かった』って顔してた」





なんで顔に出してんだ、俺…





「送ってからじゃなくて正解だけど、ちょっと早かったかもね~告白」




なんて言葉を残し、「じゃあまたね〜」と杏は去って行った






はぁーと深いため息を吐き、俺も家路につく




正直、彼女も俺に気がある…いや、結構好きなんじゃないかと思っていた






でも、告白したときの彼女の驚きと戸惑いの表情…





俺1人で舞い上がってたのかな




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