つぎの春には…


プレゼン後に彼女との約束が入り



残り1週間



いよいよ大詰めだ









慌ただしく1週間が過ぎ、プレゼン当日







これが終わったら彼女と会う







深呼吸をして、隣に立つ中谷と目を合わす





この辺りでは知らない人はいないだろう相手のでかい会社



外観からしてでかい…




グループ会社で海外にも支社を持つ







「行くぞ」




営業部長の掛け声


このでかい案件を中心的に回してきた中谷、部下の2人、そして部長と共に相手の会社に乗り込む









1階のロビーはホテルかと思うような作りだった




入って左側はラウンジのようで、打ち合わせに使用してる人もいれば、一般の人もいるようだ





右側の受付で用件を伝えると、1人が「少々お待ちくださいませ」と内線をかける




もう1人がラウンジの方へ駆けて行った



不思議に思い、目で追って行くと40代後半のダンディーという言葉が良く似合う男性のもとへ



格好や受付の人の態度からして、この契約に関わる取締役の方だろう



その男性の向かいで楽しそうに話していた女性と目が合う



「あれ?拓ちゃん!」



男性と話していたのは杏だった



どんだけ神出鬼没なんだ…





「日下さんのお知り合い?」




取締役と思しき男性は杏とこちらに歩きながら問いかける




「ええ、学生時代からの信頼できる友人です」


杏が男性に笑顔で答える






「TOYAMグループの兼元と申します」


男性に挨拶をし、一礼する




「へぇ、日下さんが信頼する友人と言うならかなり、期待できるね。社長の高梨です」



穏やかに微笑む男性…




取締役だろうとは思ったが、まさか社長とは…





そして、この人の中で杏の評価はどれだけ高いんだ



「保証致します」


満面の笑みで返す杏



プレゼン前にハードル上げてないか?





「なんで、杏がここに?」



やっと口にできた問い





「高梨様はうちの大得意様で、今日は納品にきたの」



「家族揃って日下さんのファンでね、毎年、誕生日や記念日は日下さん指名で行っているんだ」


嬉しそうに言う高梨社長




杏の勤め先は県内を中心に10店舗程の展開のフォトスタジオで、店舗はこの会社の近くだ



杏は写真が撮りたいからと大手の内々定を蹴ってそこに就職した



そういえば先日もここに撮影行くとか言ってたな…なんならこいつの彼氏もここだよな…









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