つぎの春には…


注文した飲み物と肴が届き、乾杯をしてビールを喉に流し込む



いつもより少し苦い…と感じるのは緊張のせいか




「兼元さんにお話ししなければいけないことがあります。」


ビールのグラスを握りしめ、彼女が語り始めた


「私、バツイチなんです。20歳の時に結婚して28歳で別れたんです。」


「あと…子どもが2人います」




なるほど


バツイチは今時珍しくもないが…子どもがいるとなると気が引けるのか



「それから?」



もう話し切っただろうが、敢えて続きを促す。



「え…」


予想通りの反応



「バツイチだから、子どもがいるから…そんな理由であなたを嫌いにならないし、諦められるわけがない。あたなの気持ちを聞かせてください」


こんなにも誰かを欲しいと思ったのは初めてだ


「わ…私は…兼元さんのことが好きです。多分…初めてお会いした時から」


恥ずかしさからか頬を赤く染めながら、顔が俯いていく


でもやっと彼女の気持ちが聞けた



「では、俺の彼女になってくれませんか?」


「はい、兼元さん、よろしくお願いします」



はにかみながら俺の目を見て答える



「これからは拓って呼んで?栞」


名前で呼んでほしくて自らも彼女の名前を呼ぶ



「た…拓」



顔を真っ赤にし俯向く年上だけど俺の可愛くて愛しくて仕方のない彼女




この先どんな困難も彼女がいれば乗り越えていける




そう信じていた




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