つぎの春には…
青く澄んだ空に舞う花びらのように

〜小さな出会い〜



彼女と付き合い始めて3ヶ月が過ぎ、季節は冬真っ只中


この地域は雪はあまり降らないのに、やたら冷える


栞とは彼女の家庭があるのでそんなに頻繁には会えないが、順調に過ごしている…と思う






営業の途中でコンビニに寄り、缶コーヒーとタバコを買う


タバコの封を開け、1本咥え火を点けながら外の灰皿の元に行く




…灰皿の横で高校の制服を着た少年がしゃがみ込みタバコを咥えている


制服からしてここらでも有名な進学校



「いーけないんだっ」



そう言って、少年の横にしゃがみ込む



「なっ」



少年はビックリと言った様子でこちらを振り返る


そして俺を確認しすぐに目を逸らす



「俺には関係ないけどね。俺も中学の頃から吸ってるし」


そう言って少年のタバコにライターで火を点けてやる



「ゲホっゲホっ」


少年は煙を吸い込みむせる


初めて吸うのか…




少年と会うのは2回目


先日、栞と食事をした帰りに自宅まで送った時に紹介された


彼女の息子



「俺も若い頃はヤンチャしたからなぁ…海斗くんに説教できることないんだわ。でも、栞が心配してるのは知ってるから、警察と闇金のお世話にだけはならないようにしとけよ?」


頭が良いだろうからわかってるとは思うけど…


「あんたに言われなくても、わかってるよ」


ムスッとした顔でもう一度タバコを口にする


今度はむせずに吸っている



目元が栞によく似ている


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