つぎの春には…
とある店の前で旦那である大也とベビーカーに乗った果奈と楽しそうに話している杏の姿
こんなとこまで来てなんで会うかなぁ
「杏ちゃーん」
と駆けていく明と栞と海斗…
すっかりみんな杏に懐いている
「明ちゃん海斗くん栞さん偶然ー!」
3人の姿を確認した杏も嬉しそうにしている
「よぉ」
俺も近付き声をかける
「拓さん、お久しぶりです」
大也が答える。こいつとも長い付き合いになったな
3歳年下のこいつとは大学4年の時に知り合いたまに飲みに連れてったりもしたけど、今や家族ぐるみでの付き合いだ
「拓ちゃん、今からご飯なら一緒に食べようよ!ここのお店美味しいって聞いたから」
そう言って目の前の店を指し示す杏
俺の家族に目をやると「もちろん」と聞こえてきそうなくらいに一同頷いている
結局、昼食だけでなくその後の観光も一緒に回り、親バカしてる大也にニヤニヤしつつチェックインの時間が来たので杏達と別れ宿に移動することにする
宿に着くとやっぱり杏達もいて、はしゃぐ女3人に目を合わせ苦笑する俺と大也
もうここまで来ると驚かない…というか昼に遭遇した時点である程度予想はしていた
俺が予約した宿はここらでも有名な高級旅館
最後の旅行になるからと奮発したけど、俺の何十倍も稼ぐ大也なら当然のように選ぶところだろう
部屋はさすがに高校生の義理の娘と同じでは気が引けるので男と女で分かれられるよう二部屋とった
だが今俺と机を挟み正面に座っているのは栞
子ども達が変な気を遣い、せっかくだから夫婦でゆっくりしなよと先にもう一つの部屋を陣取った
栞と2人きりになることもそんなにないし、ありがたく受け入れることにしよう