つぎの春には…
その日
結局、彼女からの連絡はこなかった
そりゃ街コンで会っただけの名前も知らなかったやつにいきなり連絡してって言われても警戒するだけだよな…
3日後
帰宅後、コンビニで買ってきたビールとつまみで1人晩酌中にテーブルの上の携帯が鳴り出した
知らない番号…
「もしもし!」
彼女かもしれないと思い勢いよく出た
「拓ちゃん?あたし~」
「なんだ杏か…」
がっくりと項垂れる
杏は学生時代の友人
入学当初から馬が合い、今でもたまに飲みに行ったりする
お互いに恋愛感情は皆無とわかりきっているので付き合いやすい
俺の数少ない気心知れた友人
「なんだとはなんだっ!もしかして好きな人からの電話でも待ってたりして~」
なんでこうわかっちゃうかなぁ…
「で、なんでまた違う番号からなわけ?」
杏の言葉は流し問う
「ははん、図星か。
携帯壊れちゃって、会社の携帯でかけてんの」
電話の向こうでニヤニヤしている顔が思い浮かぶ
くそっ
「今、くそって思ったでしょ?」
だからなんでわかるんだ!
「ま、冗談は置いといて、明日いつもの店に集合で〜」
冗談ておい!
まぁ、深く詮索しない杏だから友人なのだが…
「は?」
思わず素っ頓狂な声が出る
「だからぁ、明日仕事の後にいつものとこね!」
明日とかなんでそういつも急なんだよ
「んじゃ、また明日~」
そう言って通話を終了する杏。
呆然と画面の暗くなった携帯を眺める俺。
プルルルル
手の中で携帯が音を出す
また知らない番号…
今度は誰の飲みの誘いだ?
通話ボタンを押し耳に当てる