後輩なんて本気になりません!


時間ちょうどに俊哉はやってきた。


「おつかれ どーぞ」


「ああ」


お互いなんだか
よそよそしい。


「あっこれ」と差し出したのは
あたしの好きなコーヒーゼリー。


別れる話するのに
そんなもの持って来る?


うん?別れ話じゃないわけ?
あたしの勘違い?


「ありがと」
戸惑いながらも受け取った。


「もう遅い時間だから無いかと
思ったら2つだけ残ってた」


コンビニのコーヒーゼリー
生クリームが乗ってるやつ
大好きなんだあたし。


「そうなの ありがとう
あっ 何か飲む?」


「いや すぐ帰るから」


勘違いじゃないか
・・・やっぱり 別れ話か。


「あのさ 陽菜 別れよう」
座るとすぐに別れの言葉。


「どうして?」


「好きな人ができたんだ」


ーーー怪しいねーーー
ーーーきっと女っすよーーー


いろんな人の言葉が頭の中を駆け巡る。


薄々は感じてたけど
実際に言われると結構堪える。


「好きな人???
もしかしてずっと
浮気してたの?」


「・・・ごめん
謝るしかない」


「信じらんない!浮気するとか
意味不明!!!」


「ほんとごめん」


ごめんごめんと何度も頭を下げる俊哉。


「別れ話するのに
こんなもの持って来ないでよ!」


さっき受け取ったあたしの好物の
コーヒーゼリーを俊哉の顔をめがけて
投げた。


「イテ!何すんだよ!」


「何考えてんの?
何のつもり?どう言う思いで
こんなもの持って来たわけ?」


「お前の好きなものだったから
いつもの癖で」


「いい加減にしてよね!
最低!最低すぎる!」


「ごめん」


「本当にもう終わり?」


「・・・ごめん
戻れない」


それを言われればもう先の話はない
別れたくないとか
みっともない真似したくないし
俊哉の前で泣きたくなかった。


「帰って!」


最後にごめんと言い残し
俊哉はあたしの家
ううん あたしから去って行った。


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