はやく気づけ、バカ。
観念したようそういうと「っ本当ですか!?」とめちゃくちゃ目を見開く桐谷くん。
「...桐谷くんが誘ったんだよ?」
困らされた仕返しに、ちょっとからかってやろうと思い、そう言うと、
「えっ、あ、そうですけど...!」と少し照れた顔をする桐谷くん。
(...なんだか、私のほうが恥ずかしくなってきた...。)
忘れていたけどここは総務部のオフィスだ。はやくここから退散しようと「はやく行こう。」と言って桐谷くんを急かした。
「はい!俺、いいお店見つけたんです。」
「そうなんだ、じゃあそこ行こう。」
「はい、行きましょう甘利先輩。」
桐谷くんと話しながら、エレベーターのほうへと歩く。
エレベーターの前まで行くと、下りのボタンをカチり。
押したときに、エレベーターの現在地も一緒に確認すると、どうやら12階から私たちが今いる10階に降りてくるようだ。
エレベーターを待つ間も、話が尽きることはない。
「甘利先輩ってサラダ好きですか?」
「サラダ!好きだよ!」
いつの間にか桐谷くんと話すのが楽しくなってきたな、と思った時。
ピーン、とエレベーターが着いた音が鳴った。
扉が開くと私は目を疑った。