はやく気づけ、バカ。


ーーいつからか、送られてくるようになった一通のメール。

宛先は知らない人。

...初めは、ただの間違いメールだと思っていた。


だけど、毎日毎日必ず来る一通のにメールに、

間違いメールだ、なんて言葉はすぐに消された。

だけれど、もしかしたら本気で誰かと私を間違えて送っているのかもしれない、と思った。


なぜなら、私のメアドは名前をローマ字で打ち、そのあとに@と続くものだから、とてもシンプルなのだ。


(Kanrinao@rarataso.jp)

甘利、という私の苗字は珍しいだろう、と思っていた。

だけど、もしかしたら同姓同名の人がいて間違いメールなのかもしれないとも思ったが...



「メール、送り先間違えてますよ。」

どちらにしろ、メール相手にメールを送り返す勇気はなかった。


違うとは思うけど、チェーンメールとか架空請求とかそういう類のものに巻き込まれたくもないし...、

なんて送れない言い訳がわたしの中を駆け回り、

結局私は、放置することに決めたのだ。



...ただ、理由はそれだけじゃなかった。







< 12 / 139 >

この作品をシェア

pagetop