はやく気づけ、バカ。
お昼を誘ってはや6回目。
あまりにも毎日誘うとうっとおしくなるよな、と思って週に2,3回程度にしておいた。
やっと思いで、ここまで来た。
いいよ、を聞くために更に追い打ちをかける。
「だめ、ですか...?」
...先輩に好きになってもらうために、柄でもないことしてるんですよ。
普段から俺のことを良い後輩だと、可愛がってくれていた甘利さん。
少しでも、振り向いてくれませんかね。
なんて、柄にもないことを考えていると甘利さんが言葉を発した。
「...いいよ、一緒に食べようか。」
「っ本当ですか!?」
あまりの嬉しさに、身を乗り出す勢いでそう言ってしまった。
そしてその言葉を聞いた途端、心の中でよしっ!!!と大きく叫んでガッツポーズした。
「...桐谷くんが誘ったんだよ?」
すると、さっきまでは困り顔だったくせに、意地悪く言う甘利さん。
その言葉に少し、恥ずかしくなる。
変わり身、早すぎだろ...。
ってか俺、がっつきすぎた?
「えっ、あ、そうですけど...!」
かと言って俺がこうやって照れれば、今度は甘利さんが顔を少し赤くする。
「はやく行こう。」
照れ隠しなのか、そっけなくいうところも可愛いなあって思ってしまう。
片思いなのに、こんなに甘利さんのことを愛しいと思ってしまう自分を心の中で少し笑った。