はやく気づけ、バカ。
...マジか。
目の前に光景に少し驚きを隠せない。
それもそのはずだ。
エレベーターの中にいるのは企画部のやり手こと真島さん、と同じく企画部イチの美人と言われている黒崎さん。
エレベーターが開くまで、二人で会議の話か何かをしていたようだったが、
二人とも俺たちと同様に、俺たちの姿を見て一瞬固まった。
黒崎さんに関しては目があった。
二人とも面識がある...が、それを甘利さんに悟られるわけにはいかない。
そう思った俺は何も知らない体でエレベーターに乗り込んだ。
そして、黒崎さんと目が合ってからずっと固まってる甘利さんに「先輩?乗らないんですか?」と声を掛ける。
するとハッとして、ぎこちない笑みを浮かべて「......あ、乗るよ!」と甘利さんは言った。
向こうが奥で、俺たちは手前。
どうやら向こうの行き先も1階のロビーのようで、それはこの空間が少なくとも1分は続くことを意味していた。
“丁度いいな、どうやって切り出そうか” と思っていると幸運にも甘利さんのほうから話しかけてくれた。