はやく気づけ、バカ。
甘利さんはとても驚いているけれど、
断らせる、なんてことはさせない。
今までのすべての布石は、
ここで甘利さんに断らせないため。
無言になって話しかけられる可能性よりも、
承諾して俺と話し続けるほうを選ぶに決まってるから。
ーーね?菜緒さん。また、尋問なんかされたくないもんね?
「もちろん!いいよ!」
...ほらね?
さあ、どんな気分なのかな。
「っ!」
真島さん?
「じゃあ、菜緒先輩って呼びます。」
俺がこうやって心底嬉しそうにすると、菜緒さんはもう撤回もできない。
それに、撤回しようとも思わないはずだ。
その証拠に、「うん、わかった。」と俺の顔を見て菜緒さんも微笑んだ。
そして菜緒さんがそういった時、エレベーターが一階ロビーへと到着した。
...もうすこし長くてもよかったのになぁ?と一人問いかけ、真島さんの心情を想像して心の中で哂う。