はやく気づけ、バカ。




真島さんが私を誘った意味をそれだと仮定して考えてみる。



真島さんに気のある誰か、を誘ったとする。
そしてそれを他の誰かに目撃される。



すると、どうなるだろう?


きっとその目撃情報は一気に社内の女性たちの間に回り、翌日あのお姉様方から尋問を受けることだろう。


(……それに、)


それはきっと、私の比じゃない。そんなことが容易に想像できると、背筋にゾッと悪寒が走った。



その子の代わりとして、今日私は行くんだ。

(…だいぶ損な役割ね。)
心の中で諦め半分に思う。

だいぶ損、どころか災厄なんじゃないかと思うくらいだ。



(…決まってしまったものは仕方がない。こんなことを思っていたら、真島さんにも伝わってしまうかもしれない。…切り替えるしかない。)


そう覚悟を決めると、洋服選びに力をこめる。


(…もし他の人に見られた時、少しでも私がマシだと思われますように…!)


願いながらハンガーに手をかけていく。






< 136 / 139 >

この作品をシェア

pagetop