はやく気づけ、バカ。



「ん、これにしよう。」

そう言ってクローゼットを閉じ、ワンピースをベッドの上へと置くと今度はバッグ選びを始める。


(……選ぶほど、バッグ持ってないけど。)


ーー今まで、周りのみんながしてきた恋愛 をしたことがない。自分を着飾るなんて、やってこなかった。


(まさかそのツケが今回ってくるなんて…。)

ほんの少しだけ過去の自分を恨む。


そう思うと、抑えていたため息がこぼれた。


「はぁ……。」



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