はやく気づけ、バカ。


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出社から2時間が経った頃、

「あ、甘利先輩...!今日、お昼休みって、空いてますか?」

総務部に向かう途中で、後輩くんこと桐谷くんに声をかけられる。



「あ、うん、多分空いてるよ。どうしたの?」

なにか聞きたいことでもあるのかな、と思いつつ桐谷くんに伺うと、

「あ、はい、そうなんです。

あの、この前の書類の処置の件と、あともう一つ聞きたいことがあって...」


「うん、わかった。じゃあお昼休み私のデスクのところ来てもらえるかな?」

桐谷くんは曖昧な言い方だったが、とりあえずその時その時で対応しようと思い、桐谷くんにそう提案する。


すると桐谷くんは少し困ったような顔で、

「あ...いや、会議室でもいいですか?

もう一つのことで、書類沢山必要になるんでデスクはちょっと...。」

と、言ったものだから、自分の配慮のなさに申し訳なくなる。


「えっ、そうなの!?ごめんね、気づかなくて...。

それに人前で私に聞くのも、ちょっと恥ずかしいよね。」

なんて自虐気味ではは、というと


「あっ、いえいえいえ!!そんなことはないです…!」

そうフォローしてくれるものだから、

「そう?はは、ありがとう。そんなこと言ってくれるの、桐谷くんぐらいだよ~。」

一応、社交辞令で返しておいた。


するとなぜか桐谷くんの顔が少し赤くなって、


「そ、それじゃ失礼します!

また、お昼休みに...!!」


と言って桐谷くんは自分のデスクへと戻っていった。




(...一体、どうしたんだろう。)

なんて風に思いながら、私も自分のデスクへと向かった。





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