はやく気づけ、バカ。
(...真のイケメン。)
私は本当に心の中でそう思った。
その時、路線のカーブで、ぐいぃと電車が曲がり、体がそのカーブに持っていかれそうになる。
(あっ...やばい...。)
倒れる、と思った瞬間、
ぐいっ と腕を引かれ、誰かの胸元へと逆にダイブした。
「す、すみません...。」
と顔を見上げると、そこには真島の顔。
「えっ」
と、驚いたと同時に心の中では真島さんの言動を称える。
(...イケメン...
これはモテるだろうなぁ...)
そう思った時、ふと気が付いた。
「あれ...真島、さん...?」
無意識に声にだしてしまい、目の前にいる真島さんに「はい?」
と見返されてしまう。
もしかして...という思いで、真島さんの目を反らさずに声をだす。
「あの...企画部の、真島さんですか...?」