はやく気づけ、バカ。


そんな中、

「えー次は、〇〇、〇〇です。

お降りの際は、忘れ物にご注意してください。

繰り返します、次はーーー」

と、アナウンスが車内に流れる。

(あ、やっとかあ...ふぅ...。)

やっとこの抱き合っているかのような状況が終わるのだと思うと安心せずにはいられなかった。



「やっとですね。」

と真島さんの方を見上げて言うと、


「...そうですね。」


真島さんもニコリと笑ってそう言った。

(あ、またこの笑顔...)

私は何故だか、
どこか、仮面のように作られた笑顔を見て少し悲しくなった。

< 53 / 139 >

この作品をシェア

pagetop