はやく気づけ、バカ。
それにしても...
(今日はやけに人が多かったなあ...、どうしてだろう。)
一人考えていると、
「...甘利さん?改札に行かないんですか?」
と、少し前のほうから真島さんに声を掛けられる。
どうやら、ほんの少し考えていた間にすでに彼は私より2,3メートルも先に進んでいたようだった。
「...あっ、行きます。」
そういうと、少し小走りに真島さんのほうへと向かう、が、
(...あ。)
とそこで一つの疑問に気が付いた。
(誰かに私と真島さんが一緒にいるところ見られたら大変なことになるんじゃあ...?)
___そう、彼は我が社の王子みたいなもの。 みたいなものっていうか王子さまだ実際。
そんな人がもし私と一緒にいるのを誰かに見られたら...?
考えが及ぶと同時に背筋がゾッととした。