はやく気づけ、バカ。
カツ、カツ、と階段を一段上るたびにヒールの音が鳴る。
(パンやさん~♪楽しみだな~♪)
とうっかり心の中で鼻歌のように一人考えると、本来の目的を忘れそうになるが一応これも目的だからいいや!と一人、納得する。
そう思っている間に階段は最後の一段をむかえ、目の前に噂のパン屋さんが目に入った。
そのままカツカツ、とパン屋さんのほうへ4,5歩歩くと、ショーケースの中に置かれているパン達がはっきりと姿を現(あらわ)す。
(おお...)
(...確かに、これはおいしそう。)
そこには、沢山の種類、細かく言えば11種類ものパンが並べられている。