はやく気づけ、バカ。




「ふんふんふふ~ん」

朝の思わぬ収穫に気分がよくなり、ついつい鼻歌を口ずさんでしまう。

「さ、真島さんもいないだろうし、会社に向かうかぁ。」


ふ~っと息を吐きだし、改札を通り抜けようとした瞬間、聞き覚えのある声が耳に入った。

「あっ甘利先輩!」

(この声は...)


もしかして、と後ろを振り返ると、

「あ、桐谷くん!」

まるでご主人様を見つけた犬のように顔をくしゃりとして笑う桐谷くんがいた。





< 61 / 139 >

この作品をシェア

pagetop