はやく気づけ、バカ。



(.........まじか。)


「おはようございます、甘利先輩。

...いまから出社ですか?」


なんともまあ可愛らしいお顔をしている。

「うん、そうだよ。」

私がそう答えると、案の定な返事が返ってきた。

「あ、じゃあ一緒に行きませんか?」

(道が一緒だから逆に一緒に行かないほうが不自然だよね...。)

「うん、そうしようか。」
にこりと笑って私が答えると、

「やった!」
ぼそりと桐谷君が何か呟いたのが聞こえた。

...が、桐谷くんがなんて言ったのかまでは聞こえず、

(なんて言ったのかな)

ごくごく普通に疑問に思ったが、それには触れないことにした。


「じゃ、行こうか!」


「はい!行きましょう!」

そういって歩きだした。

ちらっと横目に見た彼の顔はふわっと嬉しそうに微笑んでいて、

(...かっわいいなぁ、)


ちょっと好きになりそうになった朝8時40分だった。



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