はやく気づけ、バカ。
そのリーダー格のお姉さまの言葉を聞いて、ある二つのことがわかった。
まず一つ目は、
・誰かに駅で私と真島さんが話している所を目撃されたことのようだ。
そして二つ目、
・それを目撃したのは彼女たちではないということ。
そして、さらに見られたことにはそれよりも重要な問題がある。
一番重要なのは、
(どこから見られてたの...)
”どこ”から見られていたのか、ということ。
(電車から降りて話してる所を見られたらまだしも...)
もし、最寄り駅のホームで見られたなら”総務部 甘利菜緒としての死”はほぼ確実だ。
(こんなお姉さま方に立ち向かって助けてくれる人なんてほぼいないに近い。)
美乃梨は助けてくれるかも、なんて思いも淡い願いでしかない。
そう思うほど彼女たちの顔は美しく、
髪の毛も整えられていて、
さぞモテるんでしょうね、と誰かは必ず棘を吐きたくなるような人たちだ。
(特にリーダー格のお姉さまは一段とおきれいで。)
綺麗な胸元まである黒髪は、邪魔にならない程度に毛先が遊ばれていて。
パッチリ二重の瞳はまるで何かを見透かしているんじゃないかと疑うくらいにキレイで。
はぁ、と心の中でため息をつく。