はやく気づけ、バカ。
押してから5秒ほど経つと、
ガタガタと少し騒々しく自販機が鳴き、最後にガタン!と大きくもう一声鳴いた戸頃で、受け取り口からコーヒーを取り出した。
コーヒーを掴んだ所から、ヒヤリとした感覚が手のひらに広がる。
そして自販機の目の前にあったソファに腰を掛け、カチりとプルタブを開けた。
一口コクりと飲めば、あの慣れたコーヒーの味が口の中に広がった。
(うーん、美味しいなあ...。)
そうだなぁ、飲み終わったらオフィスに戻ろうかと決めたその時、
「あ、甘利先輩!」
「あ、桐谷くん。」
上半身の半分が埋まるくらいの資料を抱えた桐谷くんと目が合った。