はやく気づけ、バカ。
「お~い甘利ちゃん?」
肩にポン、と手を置かれ誰かに呼びかけられていたことに気づいた。
「わっ!!は、はい!」
手が置かれたほうに顔をすぐに向けるとそこには少し驚き顔の長野さんが片手に書類を持ち、こちらを見ていた。
「...」
「...」
「...あの、どうしたんですか?」
長野さんから声をかけたーーいや、手をかけた?...ううん意味が違うな、声を掛けたくせに黙ったままの長野さん。
痺れを切らして私から切り出すと、長野さんはハッとして要件を話し始めた。
「あ、今日仕事以外なんだけど、話したいことがあって。夜、空いてるかな?」
「...仕事の話じゃないんですね。」
つい、切り出された内容が予想外すぎて本音をそのまま言ってしまった。