はやく気づけ、バカ。


「真島さんの顔は知らないけど、

真島さんの人気っぷりなら、よ~くしってるよ。」

...そう、本当によく知っている。

例えばバレンタイン。

うちの会社は、会社の前でチョコを渡すことを禁止している。

理由は単純に通行の邪魔になるから。

でも、去年のバレンタイン当日、真島さんにチョコを直接この手で渡そう!という女性社員で会社の前は溢れかえっていた。


丁度私はその日、いつもよりも早めに会社についていたのでその女性社員たちにもみくちゃにされる、なんてことはなかったけど、

総務部からのぞいたあの光景は、本当にすごかった。


「...あれは、本当にすごかった。」


いつの間にか心の呟きが声にでたようで、それをきいた美乃梨は

「あぁ...バレンタイン?」

さっき同様げんなりした顔で言った。

「そうそう...。」



ーーと、こんな話をしていると、駅についた。

会社から駅までの距離は徒歩5分。美乃梨と話しながらだと、1分ほどに感じられた。



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