月光夜話:朧
郁美「そういう事じゃ…あの亡者共は月の悪意と地球の精霊が交じり合って出来てしまった哀れな存在なのじゃ…
   そして月の善意とはつまりワシ…今はこの珠の中にその全てを委ねておる…この牙はワシの唯一の武器じゃ。
   ―――――じゃが、ワシはこの星では自由に動くことすらままならない…
   そこでワシの意思の通りに動く『依り代』が必要になったのじゃ」
龍司「それが…何で郁美じゃなきゃなんねーんだっ?」
父親「―――――我々の家系は、その月の意思と共に地球の意思『龍』の力を使い、
   千年に一度切れてしまう封印の契約を更新する…
   そして、その僅かの更新の隙間をぬってこの世に迷い出てくる、封じられた負の魔物達を退治する者が龍司、お前だ。
   我々は代々、そうやってこの星を護ってきたのだ…同様に我々は依り代になる為だけの家系も育んで来た…」
龍司「まさか親父っ…郁美がウチの隣なのも、幼馴染みなのも全部――――っ!」
父親「それが我々の宿命なのだ――――」
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