『星が綺麗なあの場所で。』
写真
莉沙と優人は知り合ったあの日以来、丘では何度も会って話をしていたが、まだ学校では会ったことが無かった。
優人が自分と同じ学校なのは大体把握はしていたが、まだ会いに行けていない。
そろそろ間宮さんの学年見に行ってみようかな。
そんなことを思いながらも莉沙は行動に移せないままだった。
「すみません、このクラスに間宮さんって方いますか?」
莉沙はとうとう優人のクラスを訪ねた。
いきなり訪ねて嫌われたらどうしよ―。
莉沙が尋ねると、一人の女の人が言ってきた。
「間宮って間宮優人くんのこと?」
いきなり上級生に話しかけられて緊張していた莉沙が少し間を置いて頷く。
「君、間宮くんにいじめられてる子?」
莉沙はその言葉の意味が良く分からなかった。
―えっ?
間宮さんがいじめ?あの優しい人が?
何かの間違いだよね…
「で、俺に用があるってのはどいつ?」
そう言って出てきたのは耳にはピアスを付け、いかにも不良って感じの男の子だった。
―えっ、誰この人!?
そんなことを思っていると、すぐに優人が莉沙に気づいた。
「あ、お前この前の女の子だよね? ちょっと場所移動できる?」
莉沙は軽く頷き、優人に案内されるがままに着いて行った。
「間違ってたらごめん、樋口さんだよね?」
見た目の印象がだいぶ違うけど、やっぱりこの人は間宮さんだ。
優人が莉沙の考えていることが分かったのか、話を続けた。
「実は、学校ではこんなチャラい感じなんだよね、実際は写真撮ったりする方が好きなんだけど、ほんとの俺のこと内緒にしてて?」
「うん、内緒にする。」
莉沙の返事に優人がホッとした表情を浮かべた。
「あ、そういえば写真!写真を現像できたよ!いらない?」
「欲しいです…。」
恥ずかしそうに莉沙が答えると、優人が鞄から写真を取り出した。
「こんな感じなんだけど、どうかな?」
そこに写っていた星があまりにも綺麗で、ふと、莉沙の瞳から涙が溢れた。