『星が綺麗なあの場所で。』
「凄く綺麗に撮れていると思います、こんな綺麗な写真初めて見ました。」
莉沙の口からポロっと出た言葉に優人が嬉しそうに微笑む。
しばらく静かな時間が過ぎた後、チャイムが鳴り、2人は各々の教室に戻っていった。
「りーさーっ! さっき休み時間に教室居なかったけど、どこ行ってたの?」
元気に質問してきたのは咲だった。
「ちょっと三年生の先輩に用事があってね。」
すると、咲が急に大きな声を出して聞いた。
「もしかして彼氏とか!?」
「そんなわけ無いでしょ、私がまだ誰とも付き合ったことないの知ってるじゃん」
莉沙は未だに誰かと付き合った経験がなかった。
実際、容姿は凄く綺麗で、頭もいい莉沙のことを好きな男子は結構多い。
ただ、告白されても莉沙はOKを一度もしたことがない。
「もったいないよ!この前なんかサッカー部の1番かっこいい人に告白されてたじゃん!」
はぁ、咲はほんと恋愛話が好きだなぁ。
私は苦手なんだけどな。
恋愛話が好きな咲に対して、恋愛が苦手な莉沙はいつもこういう話になると、どうしたらいいのか分からなくなる。
二人が話をしていると、教室のドアがガラガラと音をたてて開いた。
「樋口莉沙さんはいるか?」
そう言って入ってきたのは、三年生のクラスを受け持っている先生だった。
しかも、その先生は優人のクラス担任である上村雄音先生だった。
上村は優人と漢字は違うが同じ名前ということで仲がよかった。
「放課後に少し話があるんだけど、いいかな?」
なんだろう。そんなことを思いながら莉沙は放課後、職員室まで行った。