『星が綺麗なあの場所で。』
約束
あの日から二年の月日が経った。
今日は約束の日、莉沙はいつもより早く丘に来ていた。
あれから二年、優人さん約束覚えてるかな。そんなことが頭を過る。
「来なかったらどうしよう」
莉沙はずっと待ち続けた。
「もう約束なんて忘れてるよね」
夕日が沈み、夜になって星が輝きだす。
でも、辺りに人が来る様子は無い。
莉沙はそっとその場に座り込み、残念そうな表情を浮かべながら星を眺める。
でも何故か、莉沙の瞳から涙が溢れることは無かった。
二年という月日があの日の記憶を薄れさせていったのかもしれない。
莉沙は星に手を伸ばし、こう言った。
「優人さんに会いたい」
莉沙は寂しい思いを少しでも軽くしようと星に願った。
莉沙はそっと立ち上がり、家の方へと歩いて行く。
家に着くと莉沙は自分のベッドに顔を埋めこう言った、
「ばか」
その言葉を放った瞬間、莉沙は泣いてしまった。どうしても辛さを抑えておけなかった。
「私って涙もろいのかな」
泣き疲れた莉沙はすぐに寝てしまった。