消しゴム(仮)

消去

この本さえあれば、過去に起こった出来事、記憶が消せる‥‥‥‥‥。

もう一度、やり直したいくらい、嫌な思い出も消せる‥‥‥‥‥。

嫌な事全て、白紙に出来る‥‥‥‥‥‥‥。

なかった事に出来る!

これはすごい!
すごいぞ!


僕は早速、ページをめくり、昔の嫌な記憶のどの文章を消すか、選び始めた。

んー、

これがいいかなぁ?

ひとつ選び、虹色の消しゴムを手に取り、消してみる事にした。

ゴシゴシゴシ‥‥‥。



一文を全て消し終わった。


‥‥‥‥‥何も変わらない。



あれ、何も変わらないぞ!



‥‥‥‥‥‥そういえば、僕はなんの記憶を消したんだったかな?

んー、思い出せない。

まぁ、いいや!


次は‥‥‥‥‥‥‥‥



僕は嫌な思い出を選んでは消していった。



「これくらいでいいかな。んー、なんだか頭がすっきりする。」

10くらい、記憶を消し終わった頃にはもう夜になっていた。

そろそろ家に帰ろうかな。

僕はもとの来た道を戻って行った。











「ただいまぁ!」

家に帰り着くと玄関で母さんが僕をじぃぃぃっと見ている。

「母さん、どうしたの?」

「‥‥あ、‥‥‥ああ、‥。あらやだ、何故かあなたの名前をド忘れしちゃった。疲れてるのかな!?」


「大丈夫かい?」


「大丈夫よ!もう御飯出来てるから食べなさい。」


僕は晩飯を済ませ、風呂へ入り疲れていたのでベッドへすぐさま寝転んだ。


明日また行ってみるか‥‥‥‥‥。


それにしても僕の名前を忘れるなんて、母さんひどいなぁ。







僕は深い眠りに入っていった。






‥‥‥‥‥‥‥続く
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