消しゴム(仮)

消しゴム

何も判らないままひたすら走っている自分がいる。
何のため走っているのかさえ判らない。

ふと気がつくと、木でできた古びた小屋が建ってある。

僕は吸い込まれるような感覚で小屋に入って行った。
小屋の中はホコリまみれで天井には穴が空いている。そこから光の道筋が出来ていた。

その光はテーブルを照らしていてよく見るとつい最近誰かが触ったような手形がつていてた。
中央にはかなり古びた本が開かれていた。
古びた本を覗きこんだが何かが書いてあった形跡はあったが何も書かれてはいなかった。
その時、コツンと何かが足に当たった。

かがんで覗き込んで見ると虹色の不思議な消しゴムが落ちていた。

僕はそれを拾い上げると同時に突然、何故だか涙が溢れ出てきた。

意味が分からずに虹色の不思議な消しゴムを眺め、無意識に古びた本を消しゴムでなぞっていた。
すると消しゴムでなぞった部分から文字が浮かび上がってきた!


僕は次第に泣いている理由が判ってきた。

僕の記憶だ!

嫌な記憶を片っ端から全部消していったら、いつの間にか大切な記憶までもが消えていた!

僕はこの虹色の消しゴムで記憶を消していたんだと!

全てをもとに戻したあと、僕は古びた小屋を出て虹色の不思議な消しゴムを少し眺めた。

そして少し後退りして、助走をつけて遠くへ、遠くへ投げ飛ばした。









もうどこへ行ったか分からない虹色の不思議な消しゴム。


今は‥‥‥‥‥‥





‥‥‥‥‥‥‥続く
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