【仮面の騎士王】

「あ、あの。レイフ様」


「なんだ」


 紫の瞳が楽しそうに自分を見下ろしている。


「私、私、こんなつもりでは」


「では、どんなつもりだったんだ?」


「いえ、ですから。ただ、レイフ様を好きなことを伝えたくて」


「それで?」


「あの。私、今日はどうかしているのです。こんなことしている場合ではないのに」


「こんなこととは?」


「ですから、こんな風にレイフ様と口づけたり、寝台で抱き合ったり」


(寝台で抱き合ったり!?)


 自分の発言の意味を理解して、ケイトリンの顔はりんごのように真っ赤に染まった。


「まだ、抱き合ってはいないな。だが、ケイトリン嬢のお望みだから、実現しないと失礼だな」


 すでに、レイフであることを否定することもなく、レイフは唇の端を吊り上げた。ケイトリンの首筋に唇を這わせると、彼女の手首を掴み、掌を滑らせると一本ずつ指を絡めた。

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