【仮面の騎士王】
「ケイト・・」


「あっ」


 レイフの熱い吐息を肌で感じる。艶のある声で自分の名前をささやかれ、ケイトリンは、思わず首をすくめた。


「耳が感じるのか?」


「か、感じるって」


 今までに体験したことのない何かが、身体の中心から溢れてくる。レイフの言葉の意味を完全には理解できなかったが、ケイトリンは、それがとても恥ずかしいことのように思えてレイフから体を離そうともがいた。


「レイフさま、おやめくださ、んっ」


 潤んだ瞳で抗議することが、逆の結果をもたらすとも知らず、ケイトリンはレイフが喜ぶ反応を返す。


 レイフは首筋と耳朶の間を何度も唇で往復しながら、次第に胸元へと顔をおろし、鎖骨に舌を這わせた。その間も、レイフは絡めた指先一本いっぽんをゆっくりと動かし、ケイトリンの掌を握りしめる。


 まるで、爪の先にまで神経が通っているようだ、とケイトリンは思った。こんなことをしている場合ではないのに、と思いながらも、レイフとの接触を自分の全身が喜んでいる気がして、ギュッと目を閉じた。


 レイフはそんなケイトリンの様子を見ながら、慎重に彼女の胸の間に顔を埋めるようにして、寝衣の上から唇を押し当てた。


「レ、レイフ様!」


 一瞬でケイトリンの首までが羞恥で薔薇色に染まる。


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