【仮面の騎士王】
ギースを鞭打って尋ねたが、彼は返事をするどころかうめき声一つ上げなかった。やはり口のきけぬ呆け者なのだ、というのが、ロッソが自分の一人息子に下した結論だった。
だが、ギースから情報を得たのでなければ、ケイトリンはいったい誰からそんな入れ知恵をされたのか。ロッソは不思議でならなかった。しかも、今頃になって。
ケイトリンは迷った挙句、母の残したメモを見せた。肉親の情を彼女はまだ信じていたかった。シャンタルの直筆を見れば、きっとロッソは味方になってくれるに違いない。
しかし、そんな淡い期待は、瞬きをする間に砕け散った。
「いったい、どこにこんなものが!」
「実はお母様がくださったペンダントの中に入っていたのです」
「シャンタルのやつ。余計なことを」
ロッソは歯ぎしりをしながらうめいた。
「余計なこと? いったいどういうことなのです。お母様はどうしてこんなことを書き残したのですか? お父様はご存じなのですね」
「うるさい、黙れ!」
ロッソはケイトリンの頬を平手で打った。生まれて初めてロッソに手を上げられて、ケイトリンはそれが現実だと受け入れるのに少しの時間を要した。本当に驚いた時は、言葉というものが出てこないのだと、頬を手で押さえながらケイトリンはぼんやりと考えた。
しかし、すぐにロッソが、何かを隠しているのだとケイトリンは思った。図星をつかれたから、怒りでごまかしたに違いない。しかし、どんなに尋ねても真実を話してくれることはないだろう。いや、たとえロッソが何を話したところで、彼の口から語られた内容が、真実だと受け入れることは、もはや自分にはできそうもなかった。
だが、ギースから情報を得たのでなければ、ケイトリンはいったい誰からそんな入れ知恵をされたのか。ロッソは不思議でならなかった。しかも、今頃になって。
ケイトリンは迷った挙句、母の残したメモを見せた。肉親の情を彼女はまだ信じていたかった。シャンタルの直筆を見れば、きっとロッソは味方になってくれるに違いない。
しかし、そんな淡い期待は、瞬きをする間に砕け散った。
「いったい、どこにこんなものが!」
「実はお母様がくださったペンダントの中に入っていたのです」
「シャンタルのやつ。余計なことを」
ロッソは歯ぎしりをしながらうめいた。
「余計なこと? いったいどういうことなのです。お母様はどうしてこんなことを書き残したのですか? お父様はご存じなのですね」
「うるさい、黙れ!」
ロッソはケイトリンの頬を平手で打った。生まれて初めてロッソに手を上げられて、ケイトリンはそれが現実だと受け入れるのに少しの時間を要した。本当に驚いた時は、言葉というものが出てこないのだと、頬を手で押さえながらケイトリンはぼんやりと考えた。
しかし、すぐにロッソが、何かを隠しているのだとケイトリンは思った。図星をつかれたから、怒りでごまかしたに違いない。しかし、どんなに尋ねても真実を話してくれることはないだろう。いや、たとえロッソが何を話したところで、彼の口から語られた内容が、真実だと受け入れることは、もはや自分にはできそうもなかった。