【仮面の騎士王】
「それにしても、わざわざ我が家でこんな捕り物をしなくても良かったのでは?」
少しずつ酔いが回ったせいか、ロッソが口を滑らせた。
「ねぇ、執政官長。君は、僕が仮面の騎士にやられるとでも思っているわけ?」
突然低い声で、ファビアンがロッソを見下ろす。
「い、いえ。そんなことは」
ロッソは、苦虫を噛み潰したような顔になり、慌てて姿勢を正そうとした。手の甲がぶつかり、ワイングラスを倒す。幸い、ほとんど飲み干していたため、音がしただけで机は汚れなかった。
「なら、ケイトリンを呼んでよ。そうでなきゃ、ここを決戦の場にした意味がないじゃないか」
(こいつ、本当に、俺が仮面の盗賊だと確信しているのか)
レイフは考えを表情に出したりはしなかった。
ファビアンにせかされて、仕方なく、ロッソは召使にケイトリンを呼びに行かせた。
ケイトリンが現れたのは、それから数刻してからだった。「ご挨拶が遅くなり、申し訳ございません」と言いながら部屋に入ってきたケイトリンを一目見て、レイフは表情を変えた。
もともとほっそりとした顎のラインは、ますますそのシャープさが際立っている。華奢な体が一回り小さく感じられた。
「ケイトリン! 会いたかったよ」
ファビアンは、ケイトリンを抱きしめると、手の甲に口づけた。
「あれ、なんだか痩せたんじゃない?」
「いえ、あの少し食欲がなくて」
「だめだよ。僕たちの結婚式はもう再来月なんだよ。君には跡取りを生んでもらわなきゃいけないし、しっかり食べて、健康でいてもらわないと」
少しずつ酔いが回ったせいか、ロッソが口を滑らせた。
「ねぇ、執政官長。君は、僕が仮面の騎士にやられるとでも思っているわけ?」
突然低い声で、ファビアンがロッソを見下ろす。
「い、いえ。そんなことは」
ロッソは、苦虫を噛み潰したような顔になり、慌てて姿勢を正そうとした。手の甲がぶつかり、ワイングラスを倒す。幸い、ほとんど飲み干していたため、音がしただけで机は汚れなかった。
「なら、ケイトリンを呼んでよ。そうでなきゃ、ここを決戦の場にした意味がないじゃないか」
(こいつ、本当に、俺が仮面の盗賊だと確信しているのか)
レイフは考えを表情に出したりはしなかった。
ファビアンにせかされて、仕方なく、ロッソは召使にケイトリンを呼びに行かせた。
ケイトリンが現れたのは、それから数刻してからだった。「ご挨拶が遅くなり、申し訳ございません」と言いながら部屋に入ってきたケイトリンを一目見て、レイフは表情を変えた。
もともとほっそりとした顎のラインは、ますますそのシャープさが際立っている。華奢な体が一回り小さく感じられた。
「ケイトリン! 会いたかったよ」
ファビアンは、ケイトリンを抱きしめると、手の甲に口づけた。
「あれ、なんだか痩せたんじゃない?」
「いえ、あの少し食欲がなくて」
「だめだよ。僕たちの結婚式はもう再来月なんだよ。君には跡取りを生んでもらわなきゃいけないし、しっかり食べて、健康でいてもらわないと」