【仮面の騎士王】
「あ、あの私」
視界の端に、レイフの姿が映る。むろん、仮面姿ではない。黒い軍服は、レイフの金色の髪によく映えていた。端正な目鼻立ちが外気にさらされているのを見て、思わずケイトリンの胸が跳ねた。会いたくて仕方がなかったはずなのに、どうしてよいかわからず、俯こうとして肌を刺すような視線を感じた。
(お父様・・)
ロッソからの無言の圧力。多少酔っているとはいえ、その眼光は鋭かった。ケイトリンは頭の先から氷水をかけられたような心持ちになった。少しでも自分の気持ちをファビアンに悟られるようなことがあれば、ギースやマノンに何をされるかわからない。
何とかして、レイフにこのことを伝える手段はないものかと、ケイトリンは思考を巡らせる。ひょっとして、ここでファビアンに破談を申し入れれば、すべてがうまくいくのではないか。ケイトリンはふとそんなことを思った。自分が好きな相手のことを、ロッソはどこの誰だかわからず非難しているだけだ。もしや相手がレイフだと知れば、態度が軟化するのではないか。
しかし結局、その作業は徒労に終わった。あまりにも仮定の話が多すぎて、実行に移すには危険が大きすぎた。
「申し訳ございません」
努めて冷静に振舞おうとしたが、ケイトリンの声はどうしても震えてしまう。
「怖い?でも大丈夫だよ。仮面の盗賊はレイフと僕で必ず仕留めて見せるからね。君にそれを見せたくて呼んだんだよ。もちろん君は僕が守るから、安心してね」
視界の端に、レイフの姿が映る。むろん、仮面姿ではない。黒い軍服は、レイフの金色の髪によく映えていた。端正な目鼻立ちが外気にさらされているのを見て、思わずケイトリンの胸が跳ねた。会いたくて仕方がなかったはずなのに、どうしてよいかわからず、俯こうとして肌を刺すような視線を感じた。
(お父様・・)
ロッソからの無言の圧力。多少酔っているとはいえ、その眼光は鋭かった。ケイトリンは頭の先から氷水をかけられたような心持ちになった。少しでも自分の気持ちをファビアンに悟られるようなことがあれば、ギースやマノンに何をされるかわからない。
何とかして、レイフにこのことを伝える手段はないものかと、ケイトリンは思考を巡らせる。ひょっとして、ここでファビアンに破談を申し入れれば、すべてがうまくいくのではないか。ケイトリンはふとそんなことを思った。自分が好きな相手のことを、ロッソはどこの誰だかわからず非難しているだけだ。もしや相手がレイフだと知れば、態度が軟化するのではないか。
しかし結局、その作業は徒労に終わった。あまりにも仮定の話が多すぎて、実行に移すには危険が大きすぎた。
「申し訳ございません」
努めて冷静に振舞おうとしたが、ケイトリンの声はどうしても震えてしまう。
「怖い?でも大丈夫だよ。仮面の盗賊はレイフと僕で必ず仕留めて見せるからね。君にそれを見せたくて呼んだんだよ。もちろん君は僕が守るから、安心してね」