【仮面の騎士王】
「ひどい・・」


 部屋が明るくなると、男の様子を見たケイトリンが開口一番につぶやいた。


 それもそのはずで、男の左わき腹から背中、腰一面にかけて大量の血が付着している。


「これは、洗浄して縫わなくてはなりませんね」


「洗浄して縫えばよいのね?」


 ケイトリンは、湯を用意しようと立ち上がる。


「ケイト様! そんなことは私がやります」


「いいの。もとは私が言い出したことだもの。お兄様が怪我をなさったときに何度も手当をしたことがあるし、私が裁縫が得意なのは知っているでしょう? きれいな布も必要よね」


 ケイトリンは、暖炉の上にある水差しを取り準備を始めた。

 
 雨は降り続いているようだが、雷はすでに遠くへ行ってしまったようだ。屋敷の中は、賊の捜索が行われているはずだが、ケイトリンの部屋は外界から隔離されたように静まり返っている。


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