【仮面の騎士王】
「くそっ! 兵士たちはいったい何をしている!」
ファビアンは腹を押さえながら唇を歪めて露台から下を眺めた。なぜか明かりの一つも見えない。
「大丈夫か、ファビアン」
レイフはファビアンの後から露台に出ると、彼の肩に手をかけて同じように下を眺めた。
「触るな!」
ファビアンは息を切らしながら部屋の中に戻ると、ふたりの後を追おうと扉を開いた。何かがおかしい、そう感じてふいに部屋の中央を振り返る。
床にへたり込んだロッソ。なぜかケイトリンを追うこともなく、自分を見つめるレイフ。ファビアンはテーブルの上を二度見、いや三度見して絶叫した。
「ば、ばかな! 冠は? 冠をどうした!!」
ファビアンは慌ててテーブルに駆け寄り、天板の上を掌でたたきながら往復した。次に床に四つん這いになり、赤ん坊のように周囲を這いずり回った。だが、何度テーブルの上を見渡しても、そこには転がったワイングラスがあるだけだ。もちろん、床の上に冠が転がってもいない。
ファビアンは、力なく床にぺたんと尻をついた。開いた窓から入って来る風が、蝋燭の炎を揺らすのを黙って眺めた。
ファビアンは腹を押さえながら唇を歪めて露台から下を眺めた。なぜか明かりの一つも見えない。
「大丈夫か、ファビアン」
レイフはファビアンの後から露台に出ると、彼の肩に手をかけて同じように下を眺めた。
「触るな!」
ファビアンは息を切らしながら部屋の中に戻ると、ふたりの後を追おうと扉を開いた。何かがおかしい、そう感じてふいに部屋の中央を振り返る。
床にへたり込んだロッソ。なぜかケイトリンを追うこともなく、自分を見つめるレイフ。ファビアンはテーブルの上を二度見、いや三度見して絶叫した。
「ば、ばかな! 冠は? 冠をどうした!!」
ファビアンは慌ててテーブルに駆け寄り、天板の上を掌でたたきながら往復した。次に床に四つん這いになり、赤ん坊のように周囲を這いずり回った。だが、何度テーブルの上を見渡しても、そこには転がったワイングラスがあるだけだ。もちろん、床の上に冠が転がってもいない。
ファビアンは、力なく床にぺたんと尻をついた。開いた窓から入って来る風が、蝋燭の炎を揺らすのを黙って眺めた。