【仮面の騎士王】
第6章:仮面の過去
太陽が降り注ぐ庭先で、ケイトリンは大きな洗濯籠を置くと、腕で額をぬぐった。それほど気温が高いわけではないが、労働に汗がつきものだということは、最近になって知ったことの一つだ。
洗濯に伴う一連の作業は、大勢の子どもがいるこの教会では重労働だったが、彼女はそれが嫌いではなかった。子どもたちに清潔な物を着せられると思うと、苦痛どころか楽しさを覚えた。
「まさか、フェルナンド先生まで仲間だったなんて、思いもしませんでした。それに、レイフ様に剣を教えたのが先生だったなんて」
ケイトリンは、隣で同じように洗濯物を干しているフェルナンドに話しかけた。嫌味のつもりではなかったが、フェルナンドは苦笑いした。
「申し訳ない。ランベール王からレイフ様を頼むと命じられていたもので」
フェルナンドは、剣を握る者らしいごつごつとした手で、器用にシャツをはたいた。
「いいえ。先生のおかげで、私たちが無事に逃げ出せたんです。本当にお礼の言葉もありません」
あの日、ロッソの屋敷にふたりの仮面の盗賊が現れていたのだとケイトリンが知ったのは、この教会に着いてからのことだ。フェルナンドが外で兵士をひきつけている間に、ギースがケイトリンを救い出す。レイフがたてた作戦だとケイトリンはギースから聞いていた。
「そういえば、あなたとファビアン王子の結婚式が延期になったそうですよ。なんでも、あなたが御病気になられたそうで」
「そのようですね」
ケイトリンは、少し困ったように微笑んだ。
洗濯に伴う一連の作業は、大勢の子どもがいるこの教会では重労働だったが、彼女はそれが嫌いではなかった。子どもたちに清潔な物を着せられると思うと、苦痛どころか楽しさを覚えた。
「まさか、フェルナンド先生まで仲間だったなんて、思いもしませんでした。それに、レイフ様に剣を教えたのが先生だったなんて」
ケイトリンは、隣で同じように洗濯物を干しているフェルナンドに話しかけた。嫌味のつもりではなかったが、フェルナンドは苦笑いした。
「申し訳ない。ランベール王からレイフ様を頼むと命じられていたもので」
フェルナンドは、剣を握る者らしいごつごつとした手で、器用にシャツをはたいた。
「いいえ。先生のおかげで、私たちが無事に逃げ出せたんです。本当にお礼の言葉もありません」
あの日、ロッソの屋敷にふたりの仮面の盗賊が現れていたのだとケイトリンが知ったのは、この教会に着いてからのことだ。フェルナンドが外で兵士をひきつけている間に、ギースがケイトリンを救い出す。レイフがたてた作戦だとケイトリンはギースから聞いていた。
「そういえば、あなたとファビアン王子の結婚式が延期になったそうですよ。なんでも、あなたが御病気になられたそうで」
「そのようですね」
ケイトリンは、少し困ったように微笑んだ。